杉本昌隆師匠が、八段に昇段しました。
おめでとうございます〜、パチパチ。
TVで杉本師匠が、八段に昇段するまでの気持ちを語っていました。
色々な思い、今まで聞いたことのない話や、これからの熱い思い、です。
杉本師匠の人柄もよくわかったし、いい話が多かったので、それを紹介しますね。
特に、
師匠が20歳代の時の話、
羽生善治(当時四冠)さんとの対局の思い出が、感慨深かったー。
藤井聡太七段とのアベック同時昇級についての思いも語ってます。
杉本師匠の昇段はいつ?
そういえば、2月25日の王将戦1次予選で、村田智弘六段vs杉本昌隆八段 って書いてあったような気がする。いつの間に八段になったの? って思ってました。
将棋連盟のHPを見ると、2月22日付け、でした。
2月22日に師匠の対局あったっけ? しばらく考えて、あ、そうか、藤井聡太七段の100勝の時と同じなんだって気づきました。
つまり、NHK杯、銀河戦、かどれか、録画放送の棋戦で勝ったんだなーと。
むー。藤井聡太七段の時もそうでしたが、もっとドーンとお祝いしたかったなぁ。(それと同時に思うのが、師匠と弟子、ともに、こんなお祝いしにくいところで八段になっちゃうなんて、似てます?ね。)
杉本師匠の八段昇段の感想
杉本師匠いわく、
「振り返ると、辛いことが多かった。これだけ長くかかると思わなかった。(八段に昇段するのに)」
「弟子(藤井聡太七段)に追い越されるされることはないと思いながらも、早く昇段しないと」と、
弟子(藤井聡太)に抜かれたら辞めるつもりだった
「もし、弟子に抜かれたら、辞めようと思っていた」とも。
最初に聞いたときは、冗談かな?と思ったのですが。。。師匠の表情を見ると、冗談ではなさそうでした。
師匠なら本当にそうしたかもしれないなー。
真面目な杉本師匠です。
八段へ昇段する条件
昇段規定は、日本将棋連盟のHPを見ると、条件がいくつかあります。(各段位によって違いますが)
8段へ昇級するための4つ
例えば、八段なら、
・竜王位1期獲得
・順位戦A級昇級
・タイトル2期獲得
・七段昇段後公式戦190勝
どれかを達成すると、八段になれます。
杉本師匠は、七段昇段後公式戦190勝 で八段になりました。
七段から八段へ期間が長すぎて
どれぐらいの期間がかかった、と思いますか?
七段から八段への190勝にかかった時間は
なんと、13年です。
37歳に7段になった師匠が、50歳になるまでかかったんです。師匠が、「これだけかかるとは思わなかった」というのに納得〜。
「後何勝すれば八段だ、って数えたりしないもんですか」と聞かれた杉本師匠、
「最初は数えてたけど、あまりにも長いので、途中から数えなくなりました。なので、今回も、言われるまで気づかなかった」と。
「嫌になったりしないんですか?」の質問には、
「将棋が好きなので、嫌になることはないです」とキッパリ。
師匠と弟子、共に将棋大好きです。
【臥龍】が八段になって初サイン
色紙にサインして下さい、と言われた時に杉本師匠、
「色紙に、七と書くのは得意ですが、八と書くのは苦手で。これから練習しないと」
って言いながらも、とっても嬉しそう。こちらまで喜びが伝わってくるような笑顔でした。大丈夫ですか? と聞かれて
「はい、家で練習してきました」
と、いつも真面目な師匠。
でもね、ほんっとに嬉しそうで、あまりおおっぴらに感情を出されるタイプではないと思うのですが、恥ずかしそうに、でもニコニコしていて、見ているこちらも「よかったなーぁ」って、心から思いました。
色紙にサイン、”臥龍”の意味
がりゅう、と読むって言ってたけど、がりょう、とも読むみたいです。
デジタル大辞泉には、
1 臥(ふ)してうずくまっている竜。
2 「蜀志」諸葛亮伝から。天にも昇る勢いや能力をもちながら、じっと横になって寝ている竜に、蜀(しょく)の諸葛亮(しょかつりょう)をたとえたもの。すぐれた能力をもちながら、世に知られていない人物。
大辞林だと 、
かくれて世に知られないでいる大人物。在野の傑物。
だそうです。
羽生四冠との対局は強烈な印象
興味深い話でした。
羽生vs杉本、それは22年前の対局
97年の銀河戦の準決勝。
羽生善治九段(当時四冠)と対戦した時の話で、97年といえば、22年も前!
杉本昌隆師匠が28歳・五段、羽生当時四冠が26歳の時です。(羽生さんと2歳違いなのも意外でした!?)
200手を超える長い将棋となり、ほとんど杉本師匠の勝ちだった。なのに、終盤で勝ちすじを逃し、破れたそうです。
とても悔しかった、と今も悔しそうに語る杉本師匠。
その時の事がとても心に残っていて(今もその時の悔しい思いは忘れないとも)、それから色々考え方が変わっていったそうです。
どう変わったかというと、
将棋の強さは技術力だが、その、強さ(技術力)だけでは、将棋は勝てない。
勝つためには、精神力、体力、持久力、全てが必要なのだ。
と実感した
杉本師匠が語った言葉
と言ってました。
深い話。
将棋って、性格や、精神力の強さなど、その人の持っているもの全てが出る感じがします。
だからこそ面白いんですよね、将棋。
でも、たった1回の対局で、1人の棋士の思い(考え)を変えてしまう羽生九段もすごいです。
兄弟子(小林九段)から見た、杉本昌隆師匠の人物像
「欠点のない、いい男です。」とべた褒め。しかしその後
「その分、つまらなくて。でも最近はこういう場(テレビとか人前で喋る機会)に慣れてきて、冗談を言うようになってきたんですよー。」って、笑ってました。
杉本師匠は、小林九段の横で、反論もせず、静かーに(少し恥ずかしそうに)聞いていました。
「6級に普通の人がトントンと昇級していくのに、彼はそこで2年かかって。その2年間の間に、高校に行く(戻るってニュアンスでしょうか?)かと思ったら、その間に力を蓄えていて」
杉本師匠の将棋の印象
- ジリジリ追い詰めて、消耗戦で勝っていくのが得意
- 派手さはないが、堅実な強さ
と。ふーむ、なるほどって思っちゃいました。 (小林九段をはじめ、棋士の皆さんの表現力は上手でわかりやすいです。)
藤井聡太七段と、杉本師匠のアベック昇級はある?
もし藤井聡太七段と杉本昌隆師匠のB2への同時昇級になれば、32年ぶり、史上2組目だそうです。それぐらい珍しい、大変なこと。(特に年齢が上の師匠側にとって大変)
正直、藤井七段は順位が一番下な分、厳しいとは思うのですが、藤井七段のことだから、何も無かったように、昇級してくれる気もして期待したい。(だって、今までも、まるで漫画のように、七段に昇級してきましたもんね)
それに、今度は近藤五段も、船江六段も、前回と違って、プレッシャーあるだろうし。
対戦する相手も、自分が負けて、相手の昇級を助けることになるのは避けたいだろうから、ガチでくるでしょうしね。こうなりゃ、ガンバレー、増田、ガンバレー、金井、です。
藤井聡太七段と杉本昌隆師匠が同時昇級するための条件
今、8勝1敗が4人います。近藤五段(6位)、杉本師匠(7位)、船江六段(14位)、藤井七段(31位)。昇級できるのは2人なので、
杉本師匠と近藤五段は、自力昇級ありです。自分が勝つだけでいい。他の条件関係なしに、昇級が決まります。(師匠は、自分が負けても、後の3人が全部負けたら昇級できる)
藤井聡太七段は、自分が勝つのは必須。且つ、近藤・杉本・船江のうち、誰でもいいので2人が負けないとダメ。(順位が低いのはつらいよ)
つまり、杉本師匠と藤井聡太七段が同時昇級するためには、師匠・藤井聡太七段が勝って、船江・近藤が負けないといけない、です。
最後に。杉本師匠の思い
50歳にして、上のクラスに昇級するなんて異例ですごいこと、って解説があった時に、
「弟子と同じクラス(C級1組)で指していて、師匠の自分がだらしない将棋を指していては」という思いがあった、と。
どこまでも、真面目で、弟子思いの師匠ですね。
ふとこの記事の最初の方にに書いた、杉本師匠らしいコメントの「弟子に段位を抜かれたら、やめようと思ってた」の言葉と一緒に思い出したのが、天彦名人と、その師匠(中田功八段)のこと。
自由人の中田功師匠はまだ七段で天彦名人にとっくに抜かれてるけど、気にしてないんだろうなぁって書こうと思ったら、中田師匠も今年の1月に八段になってたというオチつき、でした。
杉本昌隆師匠の昇級を全力で応援するぞ!
藤井聡太七段よりもっと、師匠の昇級を応援しくなる
あともうひとつ、杉本師匠は「自分がもし昇級できなくて、藤井だけが昇級しても、それは一門としてははい、嬉しいことなので」とも言っていました。なんかその時、自分よりも、藤井七段に昇級させてやりたいように聞こえてしまった。
前回の順位戦、vs船江戦も、自分より藤井七段の昇級をアシストしてやりたい思いが強すぎるくらい、強かったと思ってます。(和服姿も、自分の昇級だけがかかっている対局だと着てない気がしたから)
だめだよー、杉本師匠。50歳で昇級なんて、なかなかあることじゃない、ですから。杉本師匠は先にB級2組に昇級して下さいな。藤井七段は、すぐ追いついてやってきますから!
兄弟子の小林九段も、「まだ昇段(八段)のおめでとうは言ってません。昇級してからの方がいいなと思って」と。そして、「W昇級したら、杉ちゃん(こう呼んでるみたい)美味しいもん食べに行こうね」って言ってました。
ゆたうきは、断然、絶対、杉本昌隆師匠の昇級を全力で応援します!!!
3月5日火曜日の順位戦C級1組。ガンバレー、師匠、師匠ガンバレー。